インド ラダック•ザンスカールの旅 2018年夏 8日目 アルチ周辺のゴンパを廻る(ラマユルゴンパ、リゾンゴンパなど)、砂曼荼羅制作の実演、ローカル食堂が美味い
インド ラダック•ザンスカールの旅 2018年夏 8日目
2018年8月13日 月曜日 曇り/八日目
アルチ滞在四日目
アルチ周辺の遺跡やゴンパを廻る。
9時出発。
一応この順番で行く予定。
Lamayuru Gompa ラマユル.コンパ 55km→Chanbaszigs Gonpa(Khar)→mangu Temple 15km →RizongGompa リゾン コンパ20km
運転手はアルチっ子で名前はノールプ Norboo、推定年齢30代くらい、タクシー業は8年になる。精悍な顔立ち。車はインド製で、ホテルマンのMr.Norbooと同じ名前。
彼は朝ホテルに迎えに来てくれた時、ゆっくりかつ安全に運転するようにMr.Norboo から聞いたと話し、私を安心させた。
まずはラマユルゴンパに向かう。
運転手にローカルの音楽を聴かせてとリクエストしたら、穏やかな唄が流れてきた。
歌詞の意味がわからないし、メロディも単調で繰り返すだけだが、なぜか心が落ち着く。どうもチベット仏教のお経のようだ。聴いているうちに口ずさみ、運転手も加わり二人は思わず笑みを浮かべる。
アルチから50キロ、舗装路でスムーズに進む。そろそろラマユルに近づくと今まで緑あり川ありの風景を一変険しい谷間に周囲の山々はそれぞれ特質な顔立ちで現れ、見るものの目を惹く。感嘆する暇もなく次の瞬間は右手の丘には聳えるラマユルコンパの姿が現れた。
なかなかうまい演出だ。
砂曼荼羅制作の実演
ラマユルゴンパそのものは16世紀のもので、従来の11世紀創建同時の姿とは違うだろうが、本堂で5、6人の僧侶は何やらブツブツ唱えながら息を合わせて作業している。周りに大勢の観光客がカメラのシャッターを切る。
近くまで観ていて息を呑む緊張感があり、なかなか興味深く迫力ある。後で分かったが、砂曼荼羅の製作中だった。
砂曼荼羅(スナマンダラ)
仏教の教えや世界観を、様々なシンボルを並べ視覚的に表現する曼荼羅。古代インドに端を発し、今では様々なスタイルのものが世界各地に存在する。中でもチベット仏教の曼荼羅は砂で描き上げ、そして壊すという儀式で知られる。
複雑な文様を砂で描き出すチベット仏教の砂曼荼羅。曼荼羅そのものだけではなく、それを描き出す行為が重視される。
静かに振動を与えて砂を落としていく。そして描き上げられると、すぐに壊される。諸行無常(ショギョウムジョウ)の教えの象徴である。
Chanbaszigs Gonpa
ラマユルから次はChanbaszigs Gonpa(Khar)でメインロードから小径に入り、くねくね道を先に進む。
本堂よりはすぐ近くの高台に落ち崩れる姿の古いゴンパの姿が目を奪うほど感動を与える。
運転手の説明では、これは古い王様の王宮だったという。
このへんの歴史は調べると面白いかも。
ただこのゴンパはMr.Norbooのメモには載っていない。ネット上でも情報が見つからない。
ラマユルゴンパには見学者が多く、インド人以外に欧米人顔もかなりあった。しかし、このゴンパは見学者の姿が全くなく、到着して運転手は僧侶を呼び出し、ゴンパの本堂を開けてもらった。運転手がかなり慣れたようで誰もいないゴンパを案内してくれた。
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荒涼とした岩山のてっぺんにひっそりとした佇まい。手入れも修復もなく、昔のままの姿、むしろ味わい深い。
どうもここの僧侶は運転手の友達で、見学後、僧侶の部屋に招かれ、お茶をご馳走になった。
高い山にあるゴンパではかなり寒くて暖かいお茶は有難い。
僧侶の部屋にはテレビやら電気製品など生活用品が置かれ、普通の人間でもあるなあと感心したりもする。
三番目のゴンパの名前を忘れたが、舗装路からくねくねとした細い砂利道に入り、谷間に清流が流れ、両側にはハーブのような草花が咲き乱れ、秘境の趣だ。ゴンパも良いが、そこまでたどり着く道も負けないほど興味深い。
ローカル食堂
三番目のゴンパを終えたところ、もう四時すぎ。さすがにお腹が空いて来た。
運転手は山を下りた道端にある店を連れてくれた。
私はチャパティ、カレー味の野菜煮物、
彼はライスに豆カレー、ほかに何かよくわからない料理一品、チャパティ。
それぞれチャパティ二枚を頼んだが、焼きたてであまりにも美味しいからもう一枚追加。
カレー、野菜煮物などは作り置きで注文したものを温めてくれる。
二人分で270ルピ/540円。
安くて美味い。
特にチャパティは焼きたて美味かった。
運転手がいなければ、このようなところに入ることも、注文の仕方もわからないままだったかも。
良かった!
RizongGompa リゾン コンパ
ここには修行している運転手の息子がいる。8才。
住み込みで休日以外には帰られない。帰っても一日二日くらい。そう言う時に運転手は実に残念がっている。息子に逢いたい。彼は正直な気持ちを口にした
リゾンゴンパもメインロードから山道を登る。ほかのゴンパより割と平坦で行きやすい。
麓に駐車すると、近くに何人か少年の姿が見える。運転手は大声で声をかける。どうも黒に黄色いラインのシャツを着てるのが息子さんのようだ。
運転手は力尽きた私を待たずに大股で登っていく。
親子は言葉を少しかわし、運転手は息子さんの体を掴む。
あっという間に息子さんは戻っていく。
あれほど逢いたがっていたのに、シャイだね。
息子さんは宿舎に入らず、友達と塀から飛び降りたりする。
お父さんの目を惹くためか。
運転手もまた息子さんの姿に釘付き、時たま声をかける。気をつけろとでも言っているか。
どこの親子も一緒だね。
地球歩きにはこのゴンパは創建1840年、それほど古くなく、僧の修行を目的として作られたとか。
そう言えば、運転手の息子さんもここで修行、五年間も、既に2年をたち、あと三年。
この間、数百冊の経本を覚えていくほか、英語、数学など科目も勉強する。
学生の数は数十人くらい。もちろん学費がかかる。
ゴンパは教育機関でもあるね。
息子さんの五年間の修行を終えてからレーにある学校に進学させると、運転手は夢を語る。
ゴンパめぐりして感じたのは
チベット仏教はこの現代社会から隔離されたような土地に脈々と息づき、この土地の人々の生活に根付いている現実、この土地に来る前には想像できなかった。
ホテルのオーナーだった!
夕方、SAMDUPLING ホテル隣接ガーデンレストランでのんびりしている。ゴンパめぐりして、疲れたけど、満足度の高い一日。
そこでMr.Norbooがひょっこり顔を出してきた。相変わらずいつものブル色の制服姿。
「どうだった?ゴンパめぐりは?どのゴンパは一番好き?」
彼は興味津々だ。
「どうぞ、座ってください。何かお好きなものを頼んで」
私はウエイターからもらって来たメニューをNorbooさんの前に出す。
もう食べたから、要らないといいながら、彼は向かい側の椅子に腰掛けた。
「遠慮しないで飲み物でもどうぞ」
私はウエイターを呼び、注文を勧める。
Norbooが呟くように
「私はこのホテルのオーナーだ。」
このレストランはホテル併設もので、つまりここはNorbooの所有物だ。
一瞬言葉が出てこなくなった。
なんだ、ホテルのスタッフとばかりに思っていたのに。
彼の話では、彼はこの地方に生まれ育ち、彼の生家Norboo家は大きな家族で、私が泊まっているホテルAlchi Reasdre のオーナーも彼のいとこにあたり、また私が好んでいつも行っているレストランアルチキッチンもマダムの旦那ともいとこ関係。
Norboo家はこの地方の豪族のようだ。
ただ運転手Norbooとは違う家系だという。
通りで彼もそして私のホテルのオーナー、レストランアルチキッチンのマダムも流暢な英語を操り、皆この地方にしてはシャレで人気を誇るホテルやレストランを経営している。
彼は私が今日のゴンパめぐりに大変満足していることを知り、さらなる提案をしてくれた。
アルチからパドウムに行かないかって。
今回の旅はラダック地方の情報が少なく、且つ高地ということもあり、どこまで行けるか、体調を見ながら決めていこうと考えていた。
うまくいけばヌブラ渓谷とパンゴンツオにまで。これはラダック旅のスタンダードコースで、ザンスカールの中心地パドウムに関しては地球歩きでは僅か触れただけで、道路の事情が悪く、自分にはとてもたどり着けるとは思えず、事前に収集した情報も少なく、パドウムは今回の旅のルートには入っていない。
だが、Norbooの言うにはアルチからパドウムまで450キロ、途中カルギルまでの200キロは舗装路で残り250キロは未舗装路だけで、大したことない。
ここまで具体的に行き方が言われると、何となく行けそうな気がして来た。
自分の体調が良く、しかもNorbooの存在も大きい。
行ってみよう。
明日パドウムへの行き方を詰めていくと約束してNorbooと
お別れした。
充実した一日だった!
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